月の妖精
安藤しづか
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on silk art cloth
116.7 × 91.0 cm
幼いころから、太陽よりも月の方が好きだった。
幼少期を過ごした田舎の家のまわりには灯が少なく、月の明るさがよくわかった。
ただ、神秘的な月の妖精を描きたかった──
それだけだったはずなのに、筆を動かしているうちに、 なぜか“ひとりぼっちの慰め”のような気配が絵に宿った。
月の光のように静かで、どこまでも遠い存在。 灯幻館の舞台裏には、そんな妖精がいてほしいと思った。 月の光の時間帯にしか現れない、小さな観客たち。 静かに、ただそこにいて、役者の呼吸に耳を澄ませている。
背景はあえて明るい水色にした。 まだ明るい時間帯に見える月のように、静かな存在感を描きたかった。
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