The torrent in seconds ― 秒角の激流:角谷紀章、武内雄大

Ginza New Gallery

2024.04.27 - 05.25 | オープニングレセプション 04.27 16:00-

この度、ホワイトストーンギャラリー銀座新館では、角谷紀章と武内雄大による二人展『The torrent in seconds―秒角の激流』を開催いたします。

角谷紀章は、リアリスティックな風景と鑑賞者の間に「すりガラス」や「カーテン」を模したノイズ的要素を介在させることで、想像力と没入を促す独自の話法(イディオム)を展開―喧噪と静謐が同期する曖昧な現実を突く。

武内雄大は「歳をとることへの畏れ」をテーマとし、大胆な筆致と色彩感覚の機微で、個の内側が孕むダイナミズムを発露させる。多用する「黒」は単なる色彩の域を超え、あたかも転調を示唆するモチーフのように視覚をむしばむ。

スタイルこそ異なれど、ふたりのアーティストから導き出せるのは、日常に潜む思いもよらぬ風穴の提示であり、それは「看過することへの警鐘」とも受け取れる。

瞬間は切り取られ、物語が始まる。
稀有なふたつの才能が提示する「均されない日常」から、幾多の時空紀行がうまれる。

未だ見ぬ日常の探訪へ、ぜひ足をお運びくださいませ。

Frosted Window #79, 2024, 130.3 × 162.0 cm

ABOUT

角谷紀章

「他者に想像させるツール」として自らの作品を位置づける。「Frosted Window」シリーズにおけるすりガラス、「Curtain」シリーズにおけるカーテンを模した描写は、作品と他者の視点が交錯する場の「ノイズ」として機能する。その違和感は逆に観る者の想像力を刺激し、心の風景を蘇らせ、固有の「リアル」を形成してゆく。スナップ写真特有のボケやブレ、水分を多用したメディウム遣いで曖昧さを纏う風景は、観る者の日常を静かに掬いとる一方で、現在進行形の日本を根底で示唆する。

1993年神戸市生まれ。2022年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域修了(博士号美術)。現在、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻助手。

主な展示歴:
2024年 
角谷紀章×武内雄大二人展『The torrent in seconds―秒角の激流』(東京/ホワイトストーン銀座新館)
2023年
【個展】『白い夜』(コートヤードHIROO)
【個展】『媒介であり防護壁』(東京/銀座蔦屋書店、四季彩舎)
ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022(四季彩舎ブース)
ART FAIR TOKYO(四季彩舎ブース)
2021年 
第30回佐藤美術館奨学生展(東京/佐藤美術館)
A-TOM ART AWARD (東京/コートヤードHIROO)
FACE展 2021(東京/SOMPO美術館)

主な受賞歴・メディア:
生活の友社『アートコレクターズ』完売作家特集号掲載(2024)/BSフジ『ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~#399』出演(2023)/A-TOM ART AWARD入選(2021)/FACE2021入選(2021)/第46回東京春季展賞(2020)

明瞭さと曖昧さが交錯するリアル

角谷紀章インタビュー

視線を遮るように、明快なパノラマのうえに突如あらわれる淡い隈取り。明瞭さと曖昧さを共存させる独自の表現で注目される角谷紀章が、ホワイトストーンギャラリー銀座新館で初めての展示をおこなう。「リアリティとは何か、それはどこにあるのか」という問いに端を発した試みが辿り着いた先とは? 制作についてインタビューをおこなった。

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doubt, 2023, 73.0 × 91.0 cm

ABOUT

武内雄大

美大受験を志し2年半美術系予備校に通うが、独学で作品を発表する道を選ぶ。「歳をとることへの畏れ」を制作の大きなテーマとし、そこに時間や記憶といった断片を内在させることで、ダイナミックな脈動を感じさせる画面構成を創りあげる。奔放な筆致と繊細かつヴィヴィッドな色遣いを持ち味とするが、とりわけ「黒」が持つ含蓄と柔軟性に注目。単なる色を超えた自律的な存在としての「黒」を用いることで、個が対峙する時の流れを効果的に表現。刹那への眼差しと大局観、自己回想性と他者との相対性など、観る者の複眼的視点を駆り立てる。2000年生まれ。現在、埼玉県にて制作。

主な展示歴:
2024年
角谷紀章×武内雄大二人展『The torrent in senconds―秒角の激流』(東京/ホワイトストーンギャラリー銀座新館)
【グループ展】”Behind the Closet”(新宿眼科画廊)
2023年
【個展】”Initiation of El Nido”(埼玉/ギャラリー彩光舎)
【個展】”Sequence” (東京/Gallery 33)
【グループ展】”Aap 2023 toward the future”(東京/ロイドワークスギャラリー)
2022年
【グループ展】”Watowa art award 2022”ファイナリスト展
【個展】『贔屓する日光』(東京/Gallery33)
【グループ展】“SILENT RHAPSODY (東京/THE blank GALLERY)
【グループ展】“Behind the Closet” (東京/新宿眼科画廊)

主な受賞歴・メディア:
生活の友社『美術の窓』掲載(2023)/ BSフジ『ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~#351』出演(2022)/Watowa art awardファイナリスト選出(2022)/望月遊馬詩集『燃える庭、こわばる川』(思潮社)挿画制作(2022)

自己が向き合うリアルを照らす、触媒としての「黒」の自律性

武内雄大インタビュー

肉体が否応なく発する生命力を体現するかのように、大胆に踊る筆致とヴィヴィッドな色面。一瞬にして観る者を作者の内面世界へと引き込む武内雄大が、ホワイトストーンギャラリー銀座新館で初めての展示に挑む。2000年生まれの若き作家はなぜ今、「歳をとることへの畏れ」という人間誰しもが直面する普遍的心情を制作テーマとするのか? 強烈なインパクトを刻む実存的色彩はどのようにして生まれるのか? 作家にインタビューをおこなった。

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The torrent in seconds ― 秒角の激流:角谷紀章、武内雄大
2024.04.27 - 05.25

【特別企画】
5月18日(土)16:00-新作完成披露レセプション
角谷、武内両氏へ展覧会初日のインスピレーションをもとに依頼した新作の完成披露会をおこないます(共通テーマは「予兆と記憶」)。作家2人による対談あり。 また、日本を代表する即興ヴァイオリニスト・喜多直毅氏をお招きし、同テーマで独奏して頂きます。

銀座新館

東京都中央区銀座6-4-16
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜
More Info

オープニングレセプション

2024.04.27 16:00-

招待演奏

喜多直毅/ヴァイオリン

国立音楽大学卒業後、英国にて作・編曲、アルゼンチンでタンゴ奏法を学ぶ。リバプール・インスティチュート・フォー・パフォーミングアーツでの卒業作品は、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニーのメンバー“Ensemble10:10によって初演される。タンゴ奏法はアストル・ピアソラ五重奏団のヴァイオリニスト、F.S. パスに師事。帰国後は日本におけるタンゴの第一人者・京谷弘司や小松亮太のグループで活動するほか、鬼怒無月(gt)率いるプログレッシヴ・ロック・グループ『Salle Gaveau』に参加、国内はもとより海外でも人気を博す。”Rock in Opposition Festival”(フランス)や “Mosaic Music Festival” (シンガポール)に出演、二度の欧州ツアーもおこなう。2009年コントラバス奏者、故・斎藤徹との出会いが契機となり、活動領域を即興音楽へと拡張、ミシェル・ドネダ(sax)、バール・フィリップス(cb)、ジャン・サスポータス(dance)、トビアス・デリウス(reeds)、トリスタン・ホンジンガ―(vc)、ロジャー・ターナー(dr)、久田舜一郎(小鼓&声)、沢井一恵(五弦琴)など、第一線の演奏家とジャンルを超えたセッションを世界各地で重ねる。現在は即興音楽やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動をおこなっている。とりわけタンゴに即興や現代音楽・フリージャズ・ノイズなどを採り入れた『喜多直毅クァルテット』は、その独創性と精神性で高い評価を獲得。並行して『喜多直毅タンゴ四重奏団』、『喜多直毅トリオ』、黒田京子(pf)とのデュオ、アラブ古典音楽のウード奏者・常味裕司率いる『Farha』、作家・高樹のぶ子との朗読プロジェクトなど、その活躍は多岐にわたる。2017年には田中信正(pf)とのデュオ・アルバム“Contigo en la Distancia”をリリース、ガット弦を用いサウンド・クオリティを追求した同アルバムは第24回プロ音楽録音賞最優秀賞を受賞。これまでにオリジナル作品を13作リリース。日本で最も先鋭的な音楽活動をおこなうヴァイオリニストとされている。

https://www.naoki-kita.com/

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