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陶芸の新境地を拓く金理有|未来の土器と古代の遺産

2024.07.06
FEATURE

金理有《黒艶線刻和脳坊》2023, 20.0× 20.0×25.0cm, セラミック


メタルに光り輝く神秘的な彫刻を手掛ける、金理有(Riyoo Kim)。古代のオブジェを彷彿とさせる神秘的な造形と、近未来のビジョンが交錯する不可思議な魅力で、現代アートと工芸の双方の領域で大きな注目を集める。過去と未来を縦横無尽に行き来する金理有の作品の魅力に迫る。


金理有:縄文土器の伝統と現代の融合

Riyoo_Kim

金理有《秘赫彩線刻鳳鎧入道》2023, 41.0×35.0×84.0cm, セラミック

​​金理有は縄文土器や青銅器といった古代の祭祀器からインスピレーションを得ている。作家は古代の創作者への敬意に留まらず、SF映画やロボットアニメ、ストリートカルチャー、音楽など、現代的な要素をも巧みに取り入れ、現代の土器とも呼べる作品を制作している。シンプルなフォルムと近未来的なメタリックな質感が、観るものを即座に過去と未来が交錯するパラレルワールドへと誘い、類を見ない独特の世界観を表現している。


人間の体と器:作品に隠された魅力

Riyoo_Kim

金理有作品、眼の部分

金理有が制作における主要なテーマとして掲げるのが「人間の体」である。陶芸作品には人間のパーツに見立てた名前が使われることが多い。例えば、壺や瓶を例にとってみると、開口部分を「口」(口縁、口作りとも言う)と呼ぶことから始まり、くびれを「首」、持ち手を「耳」、そして膨らみの部分を上から「肩」「胴」「腰」と呼ぶ。陶芸のパーツに人体のパーツを授けるという古来の伝統に触発され、人間と器との関係を作品に取り入れている。

その中でも、金理有の「眼」に対するこだわりは強く、作品に穴を開けて眼に見立てる手法を多用している。作品の中に突如として出現した空洞の眼。こちらを射止めるがごとく、するどく突きつけられる視線は、観るものに “鑑賞される” という貴重な体験を促し、より相互的な鑑賞体験へと変革させる。


金理有の陶芸家への道

Riyoo_Kim

金理有

独創的なアート作品によって陶芸家として存在感を放つ金理有だが、もともとは画家を志していた。大学在学中に兵庫陶芸美術館で縄文土器「安道寺遺跡水煙文土器」との出会いをきっかけに、陶芸家を目指すことになる。「震えるような、SFぐらいワクワクするような感動だった」と語る作家は、数千年後にも残る「焼き物」という作品を作ることを決意した。

古代の祭祀器にインスピレーションを得るという金理有だが、そこには現代的な感覚も多分に含まれている。縄文土器の装飾に対峙できるような、現代の装飾パターンを探し求めていた作家がたどり着いたのが、電子回路だ。複雑に絡み合う電子部品と配線の光景を、現代の呪術パターンとして作品に取り入れる。さらに、独自の釉薬と焼成によって作られた玉虫色の釉調がみせるメタリックな質感によって、古代の美と現代のテクノロジーを融合させた作品が生まれたのだ。


世界に広がる金理有作品

Riyoo_Kim

金理有《無垢彩線刻坊/Portrait [FLeW2023004EYE]》2024, 16.0×16.0×18.8, セラミック

金理有の作品は国内外で高く評価されている。兵庫陶芸美術館や井村美術館などに作品が収蔵されているほか、国内での個展や横浜トリエンナーレへの参加をはじめ、韓国、香港、フランス、アメリカ、シンガポール、マレーシアなど世界各地で企画展やアートフェアに参加している。

最近では、信楽の土の可能性を引き出す、無釉の作品シリーズも登場している。砂の素朴な質感と温かみを残しつつ、現代の装飾パターンで彩られた作品は、静かに、しかしハッキリと、その存在を主張する。金理有は、古代と現代、そして未来をつなぐ架け橋として、現代アートに新たな視点を提供し続けている。


金理有 展覧会|Whitestone Gallery


ホワイトストーンギャラリーでは金理有の作品をオンラインでも鑑賞いただけます。時間を超越した金理有の陶芸作品をぜひご覧ください。


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