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「すべて未知の世界へーGUTAI 分化と統合」が大阪中之島美術館と国立国際美術館で共同開催
2022.10.19
大阪, 日本
「すべて未知の世界へーGUTAI 分化と統合」ポスター
大阪中之島美術館と国立国際美術館では、共同企画である展覧会「すべて未知の世界へ ー GUTAI分化と統合」が開催されます。
2022年2月に開館した大阪中之島美術館と、道路一本を隔てて隣り合う国立国際美術館。具体美術協会(具体)が解散して50年の節目となる2022年、2 館同時開催という類い稀な形式で開催される今展覧会は、「分化と統合」というテーマを掲げ、新しい具体像の構築が追求されています。
吉原治良《作品》1962年, 油彩・カンヴァス, 東京都現代美術館
具体とは
具体美術協会は、1954 年、兵庫県の芦屋で結成された美術家集団。画家の吉原治良(1905-72)を中核に据えたこの集団は、絵画をはじめとする多様な造形実践をとおして、「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示」しようとしました。吉原による指導のもと、会員たちがそれぞれの独創を模索した18 年の軌跡は、いまや国内外で大きな注目を集め、戦後日本美術のひとつの原点として、なかば神話化されるに至っています。
白髪一雄《天暴星両頭蛇》1962 年, 油彩・カンヴァス, 京都国立近代美術館
今展覧会は、そんな具体の歩みを、「分化」と「統合」というふたつの視点からとらえなおす試みです。誰の真似にも陥らず、互いに異質であろうとしながら、あくまで一個の集団としてまとまろうとするその姿勢は、吉原の考える美術のあるべき姿、つまり「人間精神と物質とが対立したまま、握手」している状態とも、重なりあうものだと言えるでしょう。
吉原治良《作品 C》1971 年, アクリル・カンヴァス, 大阪中之島美術館
大阪中之島美術館と国立国際美術館、2 会場によって構成される展覧会は、具体の活動拠点である「グタイピナコテカ」が建設された地、大阪の中之島で開催される初の大規模な具体展です。大阪中之島美術館で具体を「分化」させ、それぞれの独創の内実に迫りつつ、国立国際美術館では具体を「統合」し、集団全体の、うねりを伴う模索の軌跡を追う。それによって目指すのは、新しい具体の姿を提示することにほかなりません。解散後50年となる2022年、「すべて未知の世界へ」と突き進んでいった彼ら/彼女らのあゆみをご覧ください。
具体を「分化」する 大阪中之島美術館
具体は、常に先駆性と独創性とともに語られてきました。吉原治良の「人のまねをするな、今まで にないものをつくれ」という言葉が、端的にそのことを表すものとして語り継がれていますが、その認知度とは裏腹に、具体の先駆性と独創性の内実は、明らかにされていません。
「分化」をテーマとする大阪中之島美術館では、具体の制作からいくつかの要素を抽出し、個々の制作のありようを子細に検証します。本会場では、具体は多様であるという結論を導き出すことではありません。多様であることは前提とし、どのような表現が受け容れられてきたのか最大限可視化することで、具体というグループの本質にせまろうという試みがなされます。
田中敦子《電気服》1956/86 年, 管球・電球・合成樹脂エナメル塗料・コード・制御盤, 高松市美術館, 撮影 | 加藤成文 ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association
具体を「統合」する 国立国際美術館
具体は、少なくともその出発点においては、「画家」集団でした。時代が下るにつれ多様化して いく造形実践の数々も、もとをたどれば、絵画という規範からの自由をめざした結果と言えます。問題は、絵画らしさをいかに解体し再構築したか、です。絵画「らしさ」をどう捉えているのか、また、それを解体してなお絵を描こうとするのか否かで、導き出される新しさはおのずと変わってくるでしょう。
国立国際美術館では、マクロな視点に立って具体のあゆみを眺め、さまざまに展開される問いなおしの作業に、いくつかの傾向を見出そうと試みます。必ずしも一枚岩でないこの集団の、内なる差異をあぶりだし、そのうえで「統合」してみせることが主な目的です。
名坂有子《作品》1960, 合成樹脂系絵具・合板・木綿布, 宮城県美術館
大阪中之島美術館 国立国際美術館 共同企画
すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合 開催概要
会期:2022年10月22日(土)– 2023年1月9日(月・祝)
開場時間:10:00 – 17:00 *国立国際美術館は金曜・土曜 20:00 まで(入場は閉場の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし、1 月 9 日[月・祝]は両館開館/1 月 2 日[月・休]は大阪中之島美術館のみ開館) *大阪中之島美術館は 12 月 31 日(土)、1 月 1 日(日・祝)休館
*国立国際美術館は 12 月 28 日(水) - 1 月 3 日(火)休館
会場:大阪中之島美術館 5 階展示室 、国立国際美術館 地下 2 階展示室
観覧料:税込み価格
大阪中之島美術館|一般 1,400円 (1,200)円、 大学生 1,100円 (900)円
国立国際美術館|一般 1,100円(900)円、 大学生 700円(600)円
2館共通券|2,500円
松谷武判《繁殖 65-24》1965 年, ビニール接着剤によるレリーフ・油彩・アクリル・カンヴァス・合板, 国立国際美術館
村上三郎《作品》1957年, ミクストメディア・板, 芦屋市立美術博物館, ©MURAKAMI Tomohiko
山崎つる子《Work》1960年, 油彩・エナメル・カンヴァス, 国立国際美術館
嶋本昭三《1962-1》1962, 油性樹脂系絵具・ガラス・カンヴァス, 大阪中之島美術館
名坂千吉郎《作品》1970ca, ステンレス, 宮城県美術館
吉田稔郎《SPRAY》1961, 油彩・カンヴァス, 高松市美術館
関連イベント
「インターナショナル スカイ フェスティバル」の再現
大阪中之島美術館では2022年11月15日(火) – 20日(日)の期間中、具体の空中展覧会、「インターナショナル スカイ フェスティバル」の再現が行われます。
「インターナ ショナル スカイ フェスティバル」とは、1960年に具体が大阪なんば髙島屋の屋上で実施し
た展覧会。具体の会員や海外の作家による下絵を拡大して描き、アドバルーンに吊って空中に展示し
ました。
今回の展示は、当時の発表内容とは異なりますが、大空での展覧会を体感できる内容です。大阪中之島美
術館の屋上より、7球のアドバルーンが掲揚される予定です。
*荒天の場合は日程が変更となります。
展覧会に関する詳細と最新情報は美術館公式サイトにて、ご確認ください。