GUTAI DICTIONARY

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穴(嶋本昭三)

嶋本は初期の貧しい時代キャンバスを購入することが出来なかった。代用品として考えられたのが新聞紙を糊で貼り付けるもので「紙バス」と名付けられた。紙で出来ているため脆弱であり、書いている際にところどころ穴が空いてしまう。穴が空いている作品は今までになく、嶋本の穴の開いた絵画は吉原治良からも高く評価された。
この作品には面白いエピソードがある。後年この作品を見てイタリアの空間主義のアーティスト、ルチオ・フォンタナの作品との類似性を指摘するものが多くあり、物まねではとの批判もあった。作品の裏側を見ると新聞紙で出来ているので、日付が入っている。これにより嶋本の穴の作品は、フォンタナが穴の開いた作品を作る以前の作品と分かり、嶋本は面目を施すこととなる。

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