Potentiality: ファン・ヘミ
Ginza gallery 3F
2026.06.05 - 06.28
私の制作は、目に見えずとも確かに存在する「潜在性(Potentiality)」への思索から始まります。他者の視線が届かない場所で独り守り抜いてきた中心、そして不確実な時間の中で黙々と蓄積してきた内なる力を、「銀」という媒体を通じて形にしたいと考えました。
作品における球状の構造や花びらを思わせるユニットは、「開花直前」の凝縮されたエネルギーを内包しています。完全に開ききっていないからこそ、むしろあらゆる形態を内包し得る状態――その存在論的な密度が最も高まる瞬間を、銀の堅実さを借りて記録しました。
透明なガラスドームは、作品を保護すると同時に観覧者との物理的な距離を生み出す「境界の装置」として機能します。この距離は、作品を性急に定義づけるのではなく、その内に漂う思索の流れに集中させるためのものです。また、底面の鏡に反射して増殖する形象は、私たちの内面に潜む潜在性が持つ無限の拡張性を意味しています。
本展を通じて、私は成功という結果や華やかな満開の姿を見せようとは思いません。その代わりに、人生の重みや苦難の中でも自分を信じ、中心を守り続けてきた人々の「蓄積された時間」を呼び起こしたいのです。傷跡や不確実さの中でも消えることなく、内側に積み重なったその力は、いつか必ず燦然たる光として花開くと信じているからです。
この作品の前で、「今何者であるか」ではなく、「何者になり得る存在なのか」を見出し、皆様お一人おひとりの時間の中で、潜在性の静かな振動が美しい光へと変わることを心より願っております。
Ginza Gallery
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
11:00 - 19:00, Sun. 11:00 - 17:00
Closed: Monday
オープニングレセプション
※銀座本館 3F
※作家在廊
ARTIST
1994年ソウル生まれ。2020年に弘益大学大学院金属工芸専攻にて修士号を取得。2023年には韓国工芸家協会より「ヤングアーティスト賞」を受賞し、そのほかにも10回以上の受賞歴を持つ。彼女の作品は2025年に出版された韓国の中学校美術教科書にも掲載されている。
銀を主な素材として制作する彼女の作品は、銀の繊細な輝きと精緻なディテールによって、静かでありながら力強い存在感を放つ。作家は、目には見えないが確かに存在する「潜在性(Potentiality)」という概念に着目し、制作を続けてきた。
銀という素材によって具現化された精緻な造形は、見えない力を可視化する試みであり、作品は鑑賞者が自身の内面に潜む可能性について思索する場を生み出す。彼女の作品は、時間の中で積み重なる存在の深みと見えない可能性を探求し、私たちの内にすでに存在する潜在性が、それぞれの時間の中で徐々に現れていくことを示唆している。