Dimensions III-in/sight

Ginza New Gallery

2024.11.29 - 12.27

ホワイトストーンギャラリー銀座新館ではこの度、気鋭の若手アーティストを集めたグループ展『Dimensions III-in/sight』を開催いたします。

3回目を迎える「Dimensions」シリーズは、新たな才能を見いだし、発表の機会を創出しながら、現代アートの将来を展望する定点化を目指すプロジェクト。タイトルにふさわしく、出展するアーティストの個性や表現形態、目指す地平は多岐にわたり、制作の背後にある世相をさまざまな角度からあぶり出してゆく。

2024年度の参加アーティストは、秋山あいれ、小林望美、田中幹希、萩原睦、𣘺本悠、福濱美志保の六氏(敬称略/50音順)。彼らの作品が浮き彫りにする、既存の主観へのダウト、複眼的視点、目に見えるものの向こう側にある何かの探求-それらは人間の肉体の限界を熟知しながら、人間そのものへの飽くなき固執を同時に示している。デジタル化・漂白化が進んだ現代社会。しかしながら、それを構成する最小単位である個人は、決して置換可能な存在ではない。「置換不可能なモジュール」である個体は、集合体で見れば波風が立たない分だけより一層、内に秘めた核は熱く、アプローチの方法に捻りとクールさをまとうものなのかもしれない。

不動であるものと不動でないもの。新しさと古さ。或いは境界を設けることの無意味さ―「観る」ことによって拓けてくる心の地殻。若き表現者よって洞察される多様な現代の深淵を、2024年の締め括りにぜひご探訪ください。

"Jester" 116.7 × 91.0 × 3.0 cm, 2024

ABOUT

秋山あいれ

1999 年神奈川県生まれ。2023 年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。18 世紀以前の名画を髣髴とさせる重厚感のある描画を、エッジの効いた線描が撹拌する画風を特徴とする。相反する2 つのレイヤーが同時に体現する温度差や違和感は、人間意識が抱えこむ底知れない沼―表層と深層の乖離―をあぶりだす。矛盾の共存においては、視点をどちらに置くかによって見える風景が全く異なるが、一方に偏ることの危うさ、型に嵌めることの不毛さを、秋山の作品は言外に強く含む。

"azalea" 53.0 × 41.0 cm, 2024

ABOUT

小林望美

茨城県生まれ。群馬大学教育学部芸術・表現系美術専攻卒業。「彫るモザイク作家」とも称される小林のモザイク技法は、伝統的な装飾技法に則ったものではなく、デジタル派生のブロックノイズや低解像度の写真や画像から着想を得ている。「自他の近似値や表裏一体性」をテーマに、2016 年には木製パネルへ描いたモザイク画を彫刻刀で彫るという独自の手法を確立。モザイクを彫るという行為は、物質的な素材の解体のみならず、我々が無意識のうちに働かせてしまう先入観を剥ぎ取り、匿名性というゼロ地点への解放をも意味する。小林にとって、モザイクの断片は個人であり、集合体は社会を意味する。表現したい個の強烈さと彫りの強度は比例し、それらは全体像の属性を左右してゆく。多様な個とそれを取り巻く環境との関わりにおける、自律した接合点を作品は例示しつづける。2016 年『KENZAN2016』展にてロウワーアキハバラ賞を、2017 年『第 2 回星乃珈琲店絵画コンテスト』にて佐藤俊介審査員優秀賞を受賞。これまでに 7 回の個展を開催。

"adapt #2" 49.0 × 16.0 × 17.0 cm, 2023

ABOUT

田中幹希

1990 年生まれ。現代彫刻家。田中は個人を特定する重要なファクターである「顔」に着目。あえて顔のパーツを消し去ることで現代社会における匿名性を記号化し、「誰でもない誰か」をモチーフに、人間が纏う佇まいや空気感、印象を表出する。顔のない立体において個人を特徴づけるのは多種多様な装いであり、それらは顔のない個人の本質を外堀から巧妙に埋めてゆく。田中が体現するタブラ・ラサのような個体は、無垢な静謐さのなかに柔軟な適応力を秘め、無数のストーリーの宝庫となっている。『人間展 2014』立体部門賞 (2014)、『Independent Tokyo 2020』審査員特別賞・染谷琢賞(2020)、『KENZAN 2022』ギャラリーアートもりもと賞(2022)など、様々な賞を受賞。これまでに 3 回の個展を開催したほか、グループ展も多数。

"6" 90.9 × 72.7 cm, 2024

ABOUT

𣘺本悠

2003 年長崎県出身。音楽や文学、サイケデリック文化から影響を受ける。「人間の知覚とその構造」をテーマに、油彩による平面作品のみならず、パフォーマンスも表現形態のひとつとする。 絵画表現においては、人間をモチーフに認識や五感からの看取、見えない向こう側を一貫して追求。我々は普段何を見せられ、何を見せられていないのか。 リアリティの背後に潜む、主観と客観が複雑に絡み合う総体的な世界の組成とはどのようなものなのか―制作物は逐一その答えであり、無数にある「真理」の具現化である。現在、日本大学芸術学部美術学科絵画コース絵画専攻在学中。個展・グル―プ展にて精力的に展示をおこなう。

"Urchin" 116.7 × 80.3 cm, 2024

ABOUT

福濱美志保

1992 年東京都生まれ。2017 年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。精緻な写実描写のなかにミニチュアのモチーフが組み込まれた福濱の絵画世界は、観る者の通常の縮尺感覚や空間への帰属意識を撹拌する。一見、瑞々しく安定感のある筆致はその実、動性や不穏さと静かに拮抗し、微視的な視点のフォーカスからは窺い知れぬ広大なユニヴァースを内包している。2024 年『第 42 回上野の森美術館大賞』入選、2023 年『Idemitsu Art Award 2023』入選、2023 年月刊美術『美術新人賞デビュー2023』及び 2022 年第 7 回星乃珈琲店絵画コンテストでグランプリ、2021 年損保ジャパン『FACE2021』入選、など受賞歴多数。これまでに6度の個展を開催。現在、山形県に移住し、制作活動をおこなう。

"twilight sky" φ25.0, 2024

ABOUT

萩原睦

女子美術大学工芸専攻を首席で卒業後(加藤成之記念賞受賞)、2022 年東京藝術大学大学院修士課程修了。同年、第 70 回東京藝術大学卒業・修了制作展にて荒川区長賞受賞。幼いころより自然や季節の移ろいに触れてきた体験は、記憶というフィルターに抽出され、ニュアンス豊かな物語性を帯びる。萩原のガラス作品においては、写真と言葉も重要な構成要素であり、観る者の想像力を相互に補完しつつ、あたかも多声音楽のように作品世界への没入を促す。清明さを内に秘めた色調のあわいは、ガラスという素材の硬質さを超えた有機的な佇まいと柔らかな動性を実現している。現在、東京藝術大学大学院博士課程在学中。

Dimensions III-in/sight
2024.11.29 - 12.27

銀座新館

東京都中央区銀座6-4-16
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜
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オープニングレセプション

2024年11月30日(土)16:00-19:00
パフォーマンス:𣘺本悠×畒知裕
※作家在廊(秋山あいれ/小林望美/田中幹希/𣘺本悠/福濱美志保)
※ドリンク付き

Glitch Coffee × Whitestone

ホワイトストーン銀座新館で開催されるグループ展『Dimensions III』 と同期間、東銀座のGlitch Coffee Ginzaでも今展の出展作家である𣘺本悠と小林望美の作品をご覧いただけます。Glitch Coffee Ginzaとのコラボレーションは2024年6月の古谷あずき展に続いて2回目。𣘺本悠のGlitchにおける展示作品はピンク・フロイドの初期のメンバーでカリスマ的影響力を誇るシド・バレット(Syd Barrett)とジャズの帝王マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の肖像。一方、小林望美は「カフェ」をテーマとしたドローイング作品を展示いたします。アンティーク調の洗練とロック・テイストが見事に調和するGlitch Coffee Ginza店内に、ホリデー・シーズンにふさわしいインパクトを刻むことでしょう。また、11月29日(金)は展覧会オープニングを記念し、時間限定でシド・バレットの音源が店内に流れるスペシャル・アワーとなります(17:00-18:00)。通常のジャズを中心とした選曲とは一線を画するスペシャルなコーヒー・タイムをお楽しみくださいませ。

Glitch Coffee Ginza

GLITCH COFFEE & ROASTERS

「限りある時間の為の価値のある一杯を提供する」をコンセプトに、シングルオリジンコーヒーのみを提供するコーヒー専門店。2015年に日本の喫茶店文化が息づく街・神保町に創設して以来、それぞれのコーヒー豆が有する産地特有の個性を伝えることを使命に、シングルオリジンにこだわりを持ったスペシャルティコーヒーを提供する。2024年5月現在、神保町、銀座、大阪、名古屋に店舗を構える。

Glitch Coffee Ginza
104-0016 東京都中央区銀座4丁目14番8号
Opening Hours: 9:00-18:00

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