「アートは人類を癒すプラシーボのようなもので、歴史という激流の中に痕跡を残し、人類が抱いた感情、喜び、悲しみと向き合うものである」とウー・シャンは語る。アートは何も変えないかもしれないが、人間の感情に共鳴し、世の中にその存在を知らしめ、人類を希望で満たそうとする。 鮮やかな色彩と力強い筆致を特徴とするウーは、色は世界に存在するのではなく、屈折した光の像であり、目を包み込み、心を浄化するものであると考える。同時に作家にとって絵画とは、無から有を生み出す作業である。「作品の中の劇的な構図は、無秩序な色彩の中に隠されています。けれども、色彩の断片がひとつずつ私の前に立ち現れる。そしてキャンバスは、色彩の断片に安息の地を与える存在になるのです」

光と信仰は、作家にとって重要なテーマである。常に進化を続けるウー・シャンの作品は、より詩的で、より実験性を帯びる。作家の内面に巣食う葛藤や思考に、制作を通して深く向き合うことで、自らの感情を色彩豊かな表現に変えて、観客との共感を生み出している。一見、自由奔放に見える彼女の姿の裏には、非常に合理的な側面もある。厳格で思慮深い姿勢、作品を完成させるためには高い集中力が求められる。