three: three is a magic number 19

INTRODUCTION

threeは福島県出身の3人組アーティスト・ユニット。魚型のプラ醤油差し、漫画、アニメ、ゲームに登場するキャラクターのフィギュアなどといった嗜好品を大量に用いた立体や巨大インスタレーションで知られる。「大量生産・大量消費」と「アイデンティティ」に主眼を置き、「自己」「他者」「知覚」「認識」といったファクターを組み込みながら、フィジカルとデジタル、二次元と三次元といった異相間の対比構造をあぶり出す。


何千体ものフィギュアは解体し熱で溶かされることで、キャラクターの「性格」や「帰属」といった本来のストーリーを失い、「色」や「重量」などの無機質な物質性へと還元される。あたかも、雑多な情報が混ざり合うインターネット世界や、アイデンティティの行方が不明瞭な現代社会の様相を表しているかのように。threeの作品は、現代社会が抱える不穏な様相を可視化し、「自分は何者であるのか」「現実とは何なのか」という根源的な問いを投げかける。


本展では、夥しい数のフィギュアが溶け合い再構築された立体作品や、テレビやパソコン、タブレットなどの様々なデヴァイスの画面を模した平面作品、デヴァイスそのものにフィギュアを封じ込めた作品、漫画などのメディアから着想を得た作品まで、10年以上のthreeの軌跡を一挙にご覧いただくとともに、近年取り組んでいる新たなシリーズも公開いたします。

three

17.7kg

Three-dimensional work

立体作品「17.7kg」は、大量のフィギュアによって新たな人物像が作られている。
人の形をした作品の表面は全てフィギュアで覆われているが、身体の中心から半分に切断されその断面からは大量のフィギュアが溶け合う様子が伺える。


インターネットの発達により、様々な人格が一同に集まり容易に巨大な「何者」かになることができる一方、匿名性の強い個人によって創出されたその力は、脆く虚弱であり、ひとたびノイズが生じれば、バラバラに崩れ落ちる可能性をはらんでいる。大量の人格が凝縮された偶像からは、「群衆」と「個」の曖昧で危なげな関係性が垣間見える。

Two-dimensional work

代表作である平面作品「77V type 19.9kg」は、実際のTVやゲーム機など様々なデバイスの画面サイズになっている。


2次元の世界でのみ存在するアニメやゲームのキャラクターたちは、フィギュアとして生み出されることで3次元の世界でも存在することができ、架空の人格でありながら、現実世界でも存在することができる彼らにとって、多くの情報が行き交うデジタルデバイスの画面は2次元世界と3次元世界の境界であると言える。
現実と仮想現実の境界を具象化し、フィギュアたちと私達が存在している現実世界の危うさを提示している。

Bit Series

情報量の最小単位である「Bit」をシリーズ名に冠した、個体シリーズ。1つのフィギュアから1つの立方体、もしくは直方体の作品が作られる。人間であったもの、世界中の誰もが分かるような二次元の存在が、作家たちの手によって操作可能な領域になることの興味深さが端的に表現されている作品。


キャラクターを象徴する顔に原型をもたせることで、キャラクターへの愛着が途端に大きな違和感へと変わる。過不足ない性質と質量。しかしその存在が提示する意味は濃厚に変容する。

Display sereis

実際のテレビ画面やゲーム機、携帯電話、スマートフォンなどの実際のデバイスを使用したシリーズ。
それらのデバイスのスクリーン上には、一見大量のアニメのキャラクターたちが映し出されているように見えるが、実際は映像ではなく、本物のフィギュアがところ狭しと並び、画面の中に詰め込まれている。


本来の機能を失ったデジタルデバイスと、3次元の世界に存在しているはずのフィギュアが再度画面上に戻されている様子は、デジタルとアナログの世界の曖昧さを際立たせている。

three: three is a magic number 19
2023.04.01 - 05.14

Karuizawa Gallery

長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1151-5
Tel: +81 (0)267 46 8691
Fax: +81 (0)267 46 8692
Opening Hours: 10:00 - 17:00
Closed: 月曜
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