二川和之:from soil, to light —

Karuizawa Gallery 2, 3

2025.07.26 - 08.31

岩絵具は、地中深く眠っていた鉱石から生まれる。 それは、何億年という時間をかけてつくられた自然の記憶であり、色の源である。 私は、その記憶を、一粒一粒、画面に置いていく。日本画の素材はすべてが自然由来である。 岩絵具、和紙、膠、筆──これらは画材でありながらも単なる道具ではない。 「自然と人との共同作業」の証として、今、私の手の内にある。

風景を描くという行為は、人と自然の関係性を静かに問う営みだ。 岩絵具の質感、重み、光の変化、揺らぎ。 コントロールしきれない偶然性が、作品に「自然の時間」を刻み込む。描くほどに、自然と私の境界線は曖昧になってゆく。 色が滲む。筆が震える。粒子が光を帯びる。 それらはすべて、ひとつの「関係性のかたち」だ。 私と自然とのあいだにある無数の対話が、作品として立ち上がってくる。

本展では、土から生まれた鉱物が、時間と技術と感覚を通して「ひかり」となって立ち上がるプロセスを可視化したいと考えている。 かつては金と同等の価値を持ち、寺院や屏風に塗られてきた群青。 アフリカやアジアの地層の奥深くから採取され、何段階もの人の手を経て私のもとに届いた岩緑青。それらは、単なる色ではない。 風景の中に置かれたその一粒が、見る者の中に眠る「自然との記憶」を呼び起こすだろう。

鉱物の色彩で描く、時を超えたまなざし

二川和之インタビュー

土から、ひかりへ。

私は、自然を再現しているのではない。 自然という存在と、どう共に在るかを模索している。 共に呼吸し、耳を傾け、見えない対話を重ねる未来の風景を思い描いているのだ。 それはつまり過去への郷愁ではなく、未来への問いかけといえるだろう。 この不確かな時代にあってなお、絵の中に残せる「つながり」のかたちを、私は探し続けている。

ABOUT

二川和之:from soil, to light —
2025.07.26 - 08.31

Karuizawa Gallery

長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1151-5
Tel: +81 (0)267 46 8691
Fax: +81 (0)267 46 8692
10:00 - 17:00 (10月 - 6月),10:00 - 18:00 (7月 - 9月)
Closed: 月曜
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