現在、ロンドン、ドイツ、シカゴ、北京と国際的に活躍する美術家、江上越。自身の海外経験からコミュニケーションをテーマに一貫した制作活動が評価され,千葉市美術館学芸員の畑井恵の推薦によりVOCA展に参加、上野の森美術館にて作品を展示している。
江上越は1994年生まれ、ドイツ・HFG大学、北京・中央美術学院に留学。海外での豊富な経験から人類コミュニケーションの可能性を問う。言語学、人類学、哲学などの領域から言語の起源による人間の本能を探求し、言葉による社会を探求する作品を制作。彼女のそれぞれの「プロジェクト」は現地調査、文献資料と幅広い角度でコミュニケーションをテーマに深めている。
最近の活動として、最年少でソヴリン・アートファンデーションのアジアンアートプライズファイナリスト2019に選出、ホワイトスト―ン銀座新館での個展「君の名は?」、ドイツでの個展「In to the light…」ロンドンでの個展「Dialogue beyond 400 years」,北京での個展「This is not a Mis-hearing game」、千葉市芸術文化新人賞受賞展「対話4000年江上越個展」、大学卒業展出展作品が受賞、大学美術館に買上げ、収蔵されるなど目覚ましい活躍をしている。
VOCA展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介している。そこで待望される作家はユニークであり、いま・そこで制作していることの必然性的な成果を具現している者、ねらいが明確で国際的に通用する力強い表現力を持つ者。VOCA1994第一回展には村上隆、1997年には奈良美智が推薦されるなど、今後の日本美術界を築きあげる作家を輩出している。

畑井恵による江上越の推薦文
「大胆かつ繊細なストローク。具象か抽象か、生物か無生物か、あるいは色彩の印象さえも、画面との距離や角度によって、その見え方は少なからず変化する。
千葉に生まれ育ち、東洋的な油絵を追求すべく北京中央美術学院へと進学した江上は、言葉の差異による誤聴の実経験を契機とし、コミュニケーションを通した認識の問題をテーマに制作を続けている。日常のささやかな行き違いから生まれる創造性を起点に他者の姿を描いてきた江上が本作で向き合ったのは、幼い頃の自身である。
他者あるいは自己でさえも、何者かと向き合った時に目のあたりにする隔たり。江上が描き出すコミュニケーションとは、お互いの距離を近づけるためではなく、その距離を知るためのものである。その間(あわい)を丁寧に見つめ、境界を確かめようとする先に、自ずと浮かび上がってくるかたち。透明感をたたえた薄塗りの画面の奥に、江上の追い求めるコミュニケーションの厚みが透けて見える。」
ぜひ上野の森美術館で展示されている江上の作品をご覧くださいませ。

VOCA展2020 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─
会場:上野の森美術館
会期:3月12日(木)〜3月30日(月)
休館:会期中無休
開館時間:午前10時─午後6時(入館は閉館の30分前まで)

主催
「VOCA展」実行委員会/公益財団法人日本美術協会・上野の森美術館
特別協賛
第一生命保険株式会社
「VOCA展」実行委員会
委員長
小勝禮子 (美術史・美術批評)
副委員長
畑中秀夫 (第一生命保険株式会社取締役常務執行役員)
委員
光田由里 (DIC川村記念美術館学芸部マネジャー)
柳沢秀行 (大原美術館学芸課長)
水沢勉 (神奈川県立近代美術館館長)
家村珠代(多摩美術大学教授)
泉菜々子 (第一生命保険株式会社DSR推進室課長)
坂元暁美 (上野の森美術館学芸課長)