能動的誤認識は人間本能の一部である。言語、絵画でも、厳密には正確な翻訳と伝達はできない。多くの部分は受け手によって意義が変化していく。このズレは永遠に消えないけれども、ズレがあるからこそ、新しい生命が生まれる可能性を残しているのではないだろうか。小さな隙間にすぎないけれども、それは原点に戻り、物事の深層にある本質を垣間見る機会となるのではないだろうか。
―江上越―

江上越は日本で生まれ、ドイツHFG(The Karlsruhe University of Arts and Design)、北京・中央美術学院へ留学。豊富な海外体験からコミュニケーションの可能性を再考し、言語の起源を含むさまざまな学問領域から探求しています。とりわけ、言葉による社会の再考に傾注しています。彼女の「プロジェクト」は、そのサイトスペシフィックな現地調査と文献資料で国際的にも高い評価を得ています。直近では「In to the light… Etsu Egami solo show」(ドイツ)、「Dialogue beyond 400 years」(ロンドン)、「This is not a Mis-hearing game」(北京)、「対話4000年―江上越個展」(千葉市芸術文化新人賞受賞プロジェクト)などの個展を開催。

今展は「ふるさとにおける対話」がテーマとなります。自己と他者との対話を追求してきた江上が試みる自分自身との対話は一体何を意味するのか。時間と空間がずれていく違和感、戸惑い、散逸する時間と記憶を収集し、いかに向き合うのか—過去・現在・未来をタイムスリップしながら交錯し、見つめなおします。この機会に是非ご高覧頂きたく、ご案内申し上げます。