ホワイトストーン・ギャラリーはこの度、台湾初となる第十一代大樋長左衛門の個展『Transcend (超越)』を開催いたします。第十一代大樋長左衛門こと大樋年雄は、第十代大樋長左衛門の長男として1958年金沢に誕生。何百年にもわたり大樋家に伝わる技術や文化的遺産を受け継ぐのみならず、ボストン大学で現代美術の修士号を取得。大樋焼の継承者として、東洋と西洋の双方の文化に多大なる影響を受けてきました。伝統を継承する傍ら、作家は絶えず新たな突破口を見出そうとし、代々伝わる作陶技術と漆喰などの建築材料を組み合わせながら独自の芸術表現を開拓してきました。

『大樋焼』の起源は江戸時代初期、第五代加賀藩主・前田綱紀の統治下にまで遡ります。百万石の年貢高を誇り、仙叟(千宗室;第四代裏千家家元)を茶道の教授として京都から金沢へ招聘。その際、楽家四代目の名陶であった土師長左衛門を同行させました。土師は現在の金沢市大樋町周辺で楽焼に適した陶土を発見し、のちに『大樋焼』称されることになる茶碗の制作を開始します。加賀藩の手厚い保護のもと、大樋焼は350年に亘って発展を遂げることになるのです。大樋焼の茶碗は、茶道具のなかで現在でも特異な地位を占め、称賛を集めています。

2016年、大樋年雄は第十一代大樋長左衛門を襲名。大樋焼の伝統に忠実でありながら、そこに現代的なひねりを加えた陶器を制作しています。通常の焼き物展示に留まらず、大樋年雄はさまざまな領域に進出し、イタリアの大規模な家具展示会である『ミラノ・サローネ』への出展、中国で自身の陶器ブランド「四季芳土」(中国語で文字通り「豊かな四季の土壌」の意)を立ち上げ、陶器や紫砂といった景徳鎮や宜興(イーシン)地方の古代からの伝統に新鮮な意匠を加えています。北陸新幹線開通時には、金沢駅の内装および観光バスの外装デザインも監修。このように、大樋年雄は大樋焼の伝統を踏襲するのみならず、現代アーティストとして国内外で活発な活動を展開しています。作家はまた、公的助成のプロジェクトも含む多くの展示でその職人芸が広く認知されるように努め、若い世代の育成にも心血を注いでいます。