『トッド・ジェームズは常に我が道を行っている。いつもとても面白い絵画とドローイングを制作している。彼独自の世界に引き込むのだ。』-ファレル・ウィリアムス

ホワイトストーンギャラリーでは、アメリカ人アーティスト、トッド・ジェームズの絵画とドローイングによる個展『夢を信じる者』(Dreamer Believer)を開催いたします。今展は台湾における作家初の個展となります。新型コロナウィルスの感染がはびこるニューヨーク市での強制隔離中に制作された、新作19点を含む26点を展示いたします。

トッド・ジェームズは、1980・90年代アメリカのストリート・アートを代表するアーティストのひとりです。ニューヨークのグラフィティ・シーンではREASという名の下、十代半ばで活躍し、同世代の若者に大きな影響を与えました。ジェームズは、当時のアンダーグラウンド・カルチャーを牽引するシンボルであり、ビースティ・ボーイズ、イギー・ポップ、エミネムらとコラボレーションを行いました。ジェームズの名は、2000年個展『ストリート・マーケット』を契機として、正統のアート・シーンに広まりました。ジェームズは、バリー・マッギーやスティーヴン・パワーズとともに、ニューヨークの路地をグラフィティでカバーするという大規模な制作により、その路地風景を一新させました。この制作は、2001年ヴェネツィア・ビエンナーレ・アメリカ館で展示され、パルコ・ミュージアム(東京)にも巡回、世界中でセンセーションを巻き起こしました。近年は国際的評価の高まりとともに、2011年ロサンゼルス現代美術館『ストリートでのアート』展、2015年第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ『グラフィティの橋』展に参加しました。

ジェームズの作品は、美しい線描と形体、カラフルで動きのある人物で有名です。その作品は親近感を感じさせる一方で、現代社会の暗部への批判に満ちており、戦車、裸婦、擬人化された戦闘機といったモチーフが度々登場します。作家は、作品に「明白な」政治的意味合いを持たせようとは全く意図していない代わりに、メディアから日常的に流出する情報を使い、イメージを集結させ、仄めかします。

今展で展示される多くの新作では、室内の空間が描かれています。その構造と色彩の用い方は、アンリ・マティスやピーター・サウルを彷彿とさせます。シャープで鮮やかな色彩が特徴的で、多くのアニメ・キャラクターやグラビアがイラスト風のタッチで描かれ、時に、裸婦も描写されています。興味深いのは、作品が、傍観者の視点から描かれていること。これは計算ではなく、ジェームズが自然に身に着けた作法であり、観覧者が「他者」として作品に共鳴することを可能たらしめます。