ホワイトストーン・ギャラリー台北は、アジアの抽象美術の巡回展である『絵画と実存』を開催いたします。今展では、第二次大戦後に日本で生まれた具体美術協会と、韓国のモノクローム絵画、1980年代後半に中国で発表された抽象絵画とを繋げます。巡回展の第2回目となる今展に際し、第1回目開催のタン・コンテンポラリー・アート・ギャラリーとはと異なるアーティストをフィーチャーいたします。多様な側面を台北にてご紹介できれば幸いです。

具体美術協会は第二次大戦後の日本美術の代表格です。具体アーティストは西洋の表現主義と通底するところがあります。絵画の伝統を破壊し、イメージを再構成し、フィジカルな形式を精神的表象へと昇華させます。彼らはその創造的プロセスをパフォーマンスとし、物質性とそれを取り巻く環境とのダイアローグの場とみなします。協会を代表する女性アーティストである田中敦子は1956年に『エレクトリック・ドレス』を発表し、国際シーンを賑わせました。彼女はまた、明瞭なラインと円をカンヴァスに張った紙の表面に書きつけ、人とモノとの間にあるヴァイブレーションを表現しました。前川強は、上野で見つけた古代の陶器の紋様にインスパイアされ、麻布をカンヴァスに縫い込み、そのうえに豊かな色彩を施します。彼は芸術家人生を通して麻布を用い、麻布は作家の代名詞ともいえます。

同時期の韓国は激動の1950年代ですが、韓国モダニズムにおいて最も重要な抽象画家であるキム・ワーンキが母国の風景を描くことに専心しました。伝統的な韓国の要素である白セラドン・墨・自然風景などを採り入れつつ、シンプルなモノクロームの構図と繰り返されるブラシ・ストロークが特色のワーンキ作品は、後の韓国抽象絵画の礎となりました。例えば、1970年にユン・ヒョングンは、書家のキム・ジョンホとワーンキの影響のもと、顔料をタービン油で薄めて従来の染めや雁皮紙と同様の効果を産み出しました。同じように、チョン・サンファはカオリン石を用い、水と接着剤と混ぜ合わせることで、カンヴァスにさえ接着を可能たらしめました。混ぜ合わせたものが乾いてから、カンヴァスをフレームから外し、カンヴァスの背面一面に線を描きます。そしてその線に沿ってカンヴァスを折りたたみ、固定化した混合物が自然に割れるように描いた線に従って一枚ずつ取り除き、アクリルで満たします。現代の技術と機械的操作を用いた西洋のミニマリズムと異なるのは、これらの作家たちはピュアな視覚効果を表現していることです。実際、彼ら韓国人のモノクローム作家は、視覚映像と精神に統一をもたらすために手作業を繰り返します。

中国の抽象絵画は、1980年代の『改造と始まり』後に始動しました。アーティストはプロパガンダや社会的リアリズムと決別、西洋の哲学と美学に影響され、それらを模倣したり、言及を繰り返すことで絵画のなかに己の文化を見つけ出そうとしました。ディン・イ(丁乙)は中国の抽象絵画のパイオニアと見なされています。漢字『十』とその変化形の『X』は彼のシリーズにおいて代表的なシンボルです。イの作品は当時、越境的なだけでなく古典の社会政治的な寓話にまで対峙するものでした。2000年には、ズ・ジンシが絵画へ回帰。しかしながら、その厚塗りの技法は絵画そのものに敵対することとなりました。一筆一筆を重ねていくことにより、分厚いカラーブロックを創り出し、彫刻的効果を産み出しました。1980年代の抽象化のコンセプトを解体することにより、中国抽象画の新たな一章がスタートしたのです。

今展の目的は、第二次世界大戦後の抽象画界で重要な地位を占めたアーティストの作品群を展示することにより、東アジアの抽象美術の発展を解析し展望することにあります。台北での展示は8月24日から10月6日まで、ホワイトストーン・ギャラリー台北にて行われます。その後、展覧会は2020年の9月にふたたびタン・コンテンポラリー・アート・ギャラリーにてお目にかかります。