ホワイトストーンギャラリー香港にて、革新的な中国人アーティスト、思文閣(ヤン・ヨンリャン)の個展“Views of Water: 水景色”を開催いたします。上海の中国美術アカデミーでビジュアルコミュニケーションを専攻し、マルチメディアアーティストとして働く傍ら中国の伝統に則った水墨画の訓練を受け、伝統的な芸術形態とデジタルテクノロジーが融合した作品を制作。ヤンの現代的な再解釈の作品は、動画に歴史的な側面を注意深く再現し、静的な風景を動的で躍動感あるものに変化させます。その独特なスタイルは彼の幼少期の経験が元になっています。上海近くの村で育ったヤンは中国の文化と環境の変化を経験しました。ヤンは実践を通じて、風景画に関する代替の物語を提供するよう努めており、環境汚染や急速な都市化などの社会問題に注目しています。

本ギャラリーにおけるヤンの二度目の個展にあたり、ホワイトストーンギャラリー香港では3つのセクションに分け、新しいビデオプロジェクトである “Views of Water”、カンヌ映画祭2019でデビューし、初めてギャラリースペースで上映される最新VR作品“Nine Dragons”、デジタル画像をネガフィルムに変換した“lightbox”シリーズなどの新作を展示いたします。

“Views of Water: 水景色”は8分間の6本のビデオで構成されており、ヤンは宗王朝の画家、馬遠(c1160-1225)の伝統的な傑作を再概念化しました。ニュージーランド滞在中に収集した海、川、湖の映像がビデオに組み込まれ、渦巻く霧と波打つ波のある悲観的な風景は、古代の風景画の歴史から直接参照しています。ヤンは、写真に情感と動きを加えるために“ポスト・イメージ・テクノロジー”を採用しました。水景の微妙な操作は、海面上昇と水の供給に対する世界的な懸念の底流で、不安と混乱の感覚を伝えます。これらの作品の中で、ヤンのアジアの美術史に対する熱意と現在の状況に対する彼の見方が互いに交錯しています。

“Nine Dragons: ナインドラゴンズ”は、南宗王朝の水墨画家、陳容が1244年に制作した9匹の龍が雲、霧、渦、火、岩山の間で舞い上がる“九龍図巻”から着想を得て制作され、東洋の龍が飛び交う中に入り込むことにより鑑賞者に没入体験をもたらします。渦巻く真珠の光から始まるヤンのナインドラゴンズでは、観客は雲の上から海の下まで龍の視点をたどり、伝統的な東洋の文学や絵画で広く描かれている印象的な風景を通り抜けます。物語が発展するにつれて、不安が徐々に広がります。 これによりヤンは、中国文化のシンボルとしての「龍」と、シンボルの最初の意味は時間とともに消えていく事の不安を表現しています。古代では、「龍」は文人の精神と性格を表してきましたが、現代の中国では、幸運と富を象徴するものになってきています。さらに、ゴーグルが装備された特別なドラゴンシートにより、観客は動いている画像の世界に完全に入り込み、龍の背中に座っている感覚を疑似体験しながら山を旅します。 陳容の活気に満ちた龍の絵から描かれたナインドラゴンズは、観客を宗王朝時代に誘いますが、現代の産業要素が採用されています。 ヤンの非常に細かく骨の折れる作品は、最新の技術を使用しながら、古代からの伝統を改革しています。

現在、ニューヨークと上海を行き来しているヤン。彼の作品は、シドニーのニューサウスウェールズ美術館、ロンドンの大英博物館、ニューヨークのブルックリン博物館、上海の昊美術館、香港のM + Sigg Collection、ニューヨークのメトロポリタン美術館、パリの近代美術館、ボストン美術館、メルボルンのビクトリア国立美術館、サンフランシスコ・アジア美術館、ユタ美術館などの著名な公共コレクションとして収蔵されています。ヤンは、アジア協会から2019 Asia Arts Game Changerを受賞しており、The Global Award in Photography and Sustainability in 2019にノミネート、2009年にRecontres d’Arlesの40周年記念賞を受賞しました。