ホワイトストーン・ギャラリー香港は、このたびミズテツオ個展を開催致します。今展では国際船舶信号旗にインスパイアされた一連の抽象作品を展覧致します。

国際船舶信号旗のモチーフによりミズはユニークな存在を確立しました。国際船舶信号旗のシステムにおいては、様々な色とパターンで多様な意味を埋め込まれたアルファベットが幾何学模様の現原色と相俟って、海上における交信が可能となります。ミズはこれらのパターンを自身のイタリア滞在時の記憶、愛娘との旗遊びの思い出などと結び合わせ、抽象をめざした、やわらかな色合いのリズミックなパターンを生み出しています。

ミズの作品において重要なのが絵肌のテクスチュアです。ミズは入念に、粗くまったりとしたテクスチュアで表面を塗り込めます。言い換えれば、物質と実体である「マチエール」が、カンヴァス上における作家の仕事の残余を表象しているのです。ミズはしなやかなブラシ・ストロークによって柔軟なクリーム状のテクスチュアを創りだしますが、美術評論家の米倉守は、これを「かすかな色合いと相俟って、ミズのマチエールは真珠のようでもあり、象牙のようでもある」と表現しています。また、ミズは音楽に深く魅了されており、そのマチエールの質はカンヴァス上をたゆたう音楽にも喩えられます。そうしたメロディアスな属性は、タイトルのリリシズムによっても捉えられています。

ミズテツオは1944年東京に生まれ、武蔵野美術学園で絵画を学びます。1968年にモジリアーニの絵画に出会って以来、この作家は生涯のインスピレーションの源となります。様々なところから作品制作を依頼されており、主要なものでは、ローマ近郊サンタ・アンナ教会のステンドグラス制作(1987)、長野冬季オリンピック会場の壁画制作(1996)などが挙げられます。また、挿画本なども発行。国内外で展示歴も多く、記念碑的な『シャガール、ダリ、ピカソ、メロワ、ミズ五人展』(B.I.A.F. Art Inter AG;バルセロナ)をはじめ、ベルギー、オランダ、ドイツ、日本、香港などで個展を行っています。