ホワイトストーン・ギャラリー香港はこの度、土佐尚子展を開催致します。メディア・アーティストの第一人者として、土佐は日本の伝統文化を斬新なテクノロジーを駆使して作品化することで知られています。伊東順二のキュレーションによる今展では、『サウンド・オブ・イケバナ』、『ジェネシス』、『スペース-フラワー』といった土佐の革新的な代表作のみならず、新シリーズの『フォー-ゴッズ』までを展覧致します。これらの作品は、選りすぐりのデジタル画像と並置されます。我々が住む地球の見えない美しさを捉えようと、アートと科学を融合するのが今展の試みです。

「アン・エクスプレッション」(ある表情)と名付けられた土佐の1985年作品は、テレビモニターの明度を読み取る光センサーを用いることで生みだされるサウンドをフィーチャーしています。それはビデオ・アートの新境地を開拓し、ニューヨーク近代美術館(MoMA)にも収蔵されました。土佐の最も著名な創作である『サウンド・オブ・イケバナ』はこの「アン・エクスプレッション」の延長線上にあるといえます。土佐は音の振動を絵の具や油といった色付けされた液体に通過させ、その魅惑的な色彩の揺らぎを高速カメラで捉えます。有機的かつ優美な動きは、文化歴史的な色彩図像学にのっとって厳選された色彩のテクスチャーに落とし込まれます。『サウンド・オブ・イケバナ』は2014年、シンガポールのアートサイエンス美術館の外壁に、また2017年にはニューヨーク・タイムズスクエアの60以上のビルボードに映写された(ジャパン・ソサエティー・ギャラリー / タイムズ・スクエア・アート協賛)

日本人としての美学を維持しつつ、生きとし生けるものの起源を追ったのが『ジェネシス』です。粘度のある液体のなか、墨とドライアイスがうごめき互いに反応しあう様を捉えることで、流動的かつ幻惑の創生の瞬間を再現します。アーティスト曰く、これは肉眼では認識することが困難な「超自然的なアートの形態」であり、瞬間2000コマの高速カメラによってのみ捉えることが可能であるとのことです。

土佐の『スペース-フラワー』シリーズは、17世紀に京都で生まれた日本画の歴史的流派である琳派へ捧げられています。その劇的な構成、金や真珠といった貴重で高価な素材使い、背景に塗り込められた金箔などが琳派の諸作品に共通する特徴といえます。『スペース-フラワー』シリーズは原典に大いにインスパイアされ、それらを最大限に生かしつつも、主題は花魁から原生林まで空間で目まぐるしく切り替わります。このシリーズからの二作品、「雷神」と「風神」は日本画の巨匠・俵屋宗達の名画『雷神風神図』への土佐のオマージュです。

ホワイトストーン・ギャラリー香港は、今展においてペース自体をマルチメディア環境へと転換致します。テルミック株式会社とウシオライティング株式会社の厚意により提供されたハイテク機材の数々により、土佐尚子の作品を最もダイナミックに体感して頂くことが可能となりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。