ホワイトストーン・ギャラリー香港はこの度グループ展『具体人 in 香港』を開催する運びとなりました。歴史的な具体美術協会に所属していた作家による絵画作品とインスタレーション作品を展示致します。

「具体」は日本でもっとも重要な戦後アヴァンギャルド集団であり、リーダーである吉原治郎と若手の気鋭作家たちにより1952年に芦屋で設立されました。パフォーマンス・絵画・環境芸術を組み合わせたアートへの実験的アプローチ、その倦むことのない個性と創造性の追求で「具体」はつとに知られています。

“(具体とは)我々の精神は自由であることを具現化したいという欲望です。あらゆる表現手段を通じて鮮烈なセンセーションを経験したいという欲望に、制限がないことを望みます”

–具体マニフェスト 1956年

グループが解散する1972年までに、具体は著名な西欧のアーティストたちと密な関係性を築き上げました。そのなかにはジュゼッペ・カポグロッシ、サム・フランシス、ジョン・ケージ、アルフレッド・レスリーやジョージ・マシューも含まれています。近年の具体の再評価の気運は著しく、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)や国立新美術館(東京)といった主要な美術館で回顧展が開催されています。

「具体人」とは文字通り「具体の人々」を意味し、初めてこの言葉が登場したのは軽井沢ニューアートミュージアムにおける企画展です。展示のための主要作品を準備する一方、美術館は具体作家たちの作品のアーカイヴに着手しました。この過程で気づいたのが、過去の主要な具体展が扱ってきたのは大半が「具体時代」、すなわちグループが発足した1954年から解散する1972年までの作品であるということです。しかしながら、所属していたメンバーたちはグループ解散後も「これまでにないものを創れ!」という吉原のスローガンに従って活動を続けていました。このように「具体人」とは、そのキャリアを通じて絶え間なく創造性を発揮し続けた「具体アーティスト」を意味するようになったのです。美術館はこの言葉を一連の展示や会議を通し、提唱してきました。

『具体人 in 香港』は、「具体人」というタイトルのもとでアーティストたちを明るみに出す、初のギャラリー展示となります。今展は H Queen’sの7階と8階にあるホワイトストーン・ギャラリーの二つのフロアを用いて行われます。8階スペースでは、具体のキー・メンバーの中から、吉原治郎、白髪一雄、嶋本昭三、上前智佑、前川強、鷲見康夫、元永定正、名坂有子をフォーカス。7階スペースはふたつのセクション –向井修二のソロ・ショーと、具体美術協会と相互交流的な立ち位置にある今井俊満、堂本尚郎、ポール・ジェンキンス、ジョージ・マシュー、トゥーリ・シメティらのアーティストたちの作品展– に分けて展覧致します。

『具体人 in 香港』は、具体アーティストたちだけでなく、グループに参加した彼らがどのように創造的なエネルギーをその後のキャリアに応用していったかという新たな視座を与えてくれるでしょう。今展では具体のムーヴメント全体を強調するのではなく、個々のアーティストに焦点を当てます。制作年度に寄らず個々のアーティストの重要な作品を展示することが今展の目的です。具体への理解促進の一助として、国際的な建築家・安藤忠雄による具体に関するエッセイを出版するほか、向井修二を招いてのギャラリー・トークを行い具体のコア・スピリットに迫ります。