ホワイトストーン・ギャラリー香港は、アラン・チャンの初となる個展『アラン・チャンとは誰か?—1960年代からのアートの旅』を開催致します。チャンは多様な手法を使った宣伝広告、デザイン、ブランディングで注目されている香港のクリエイター。個展では、時代を彩る作品の他、初公開となる新作や学生時代のドローイングなども展示。学生時代に手掛けた彼の初期のグラフィック・アートで、ポップカルチャーの影響が反映された『ファースト・ドリーム』(2007)から、消費者市場におけるメガブランド間の対立を特徴づけるだけでなく、マーケティングビジョンを共有した『ア・ブランド・ニュー・ゲーム』(2006)旅行中にiPhoneを使って瞬間的な瞬間を捉え、それらを日常生活の熟考の視覚的な日記に再構成する『iEye-ai』シリーズ(2010~)などを展示。アランのグラフィック・アート、写真、オブジェ、ビデオのインスタレーションなど多岐にわたる作品は、彼自身のアートとデザインに対する旅の真髄、強さ、世俗と消費者文化に対する自身の目線、アイデンティティや現代社会の文化における伝統と現代性の共存を表している。

チャンの作品は、銀座グラフィックギャラリー(2002)、香港文化博物館(2003)、上海美術館(2007)の主要な回顧展に展示されている。また、国内外の美術館展示、上海ビエンナーレ(2002,2006)を含むビエンナーレでも展示され、香港現代美術賞(2010, 2012)にノミネートされた。チャンの作品はビクトリア・アルバート美術館(ロンドン)、チューリッヒ美術館、中国美術館(北京)、上海、美術館、M+(香港)、香港美術館や、香港、中国本土、日本、ヨーロッパ、アメリカなど世界中のコレクターによって収蔵されている。

1950年香港に生まれたアラン・チャンは、東西文化のるつぼともいえる環境のなかで育つ。その体験が20代の初期に、文化横断的な広告業界へと彼を誘うこととなった。そこでのキャリアは芸術や工芸も含めたチャンの文化的ルーツを西洋的なフィルターのもとで洗い直すことになり、生涯にわたる珍品収集への熱狂的な傾倒を促した。チャンが長年愛蔵してきた物品の数々は、彼のインスピレーションの源である創造的プロセスの証左となるだろう。

1970年代の半ばからは、日本の経済成長、中国本土の初期の経済改革、旅行中に体験したヨーロッパの文化遺産などがチャンの本能的な感受性をさらに目覚めさせ、個別の受注制作などにも傾注するようになる。都市のヴァイブレーションのなかで生きる人々の創造的な情熱を露わにするこれらの作品は、メディウムや環境の縛りから解放された、ビジネスと芸術的鍛錬の狭間をぬうものだ。

鋭敏な視覚コミュニケーション能力と美意識によって、人生の折々における自らのアイデンティティの深淵を揺さぶりつつ、パーソナルな制作におけるチャンの実践は、積み重なったイメージの数々を、妨げるもののない自己表現の旅へと落とし込むことを実現するひとつの窓である。それらは多次元にまたがるイメージと形式、色彩による視覚言語として特徴づけられる。インスタレーション作品『キョウト・マイ・ラヴ』(2013)、『ワン・ファイン・ライン/ワン・ファイン・ライフ』(2016)、『ハロー・ギンザ!』(2017)はテクノロジーが身近になって以来の最新の動画技術が駆使されたチャンの実験的作品である。アナログからグラフィック、デジタルまでを網羅した今展では、彼の実践と野望、目的意識に関わる何ものにも捉われない定義とともに、進化し続けるアラン・チャンの創造的な旅が明らかにされるだろう。