1950年代の抽象と1960年代のポップアートを繋ぐ作家として評価されてきた磯辺行久。彼の生業は芸術家から建築、エコロジカル・プランニングへ、そして近年の環境芸術家へと移り変わる。磯辺は1950年代から版画を制作し、1960年代初頭にワッペン型のモチーフを反復させた作品を発表し注目を集めた。それはフレスコ画のような質感と立体的な構造から成り立ち、法則性のない着色の反復構造は同時代を象徴するポップアートの機械的な反復と増殖とは一線を画したものであり、磯辺独自の抽象的反復構造である。ポップアートにみられる物質の象徴性と反復・量産性を含み、またその領域を超えて再構築される抽象的表現は磯辺が踏み込んだ新たな境地であり、抽象とポップアートの融合と言える。作品制作を再開した1990年代から今日に至るまで、地域コミュニティや自然環境を主題としたランド・アートを展開する環境芸術家としての活動を行っており、文字通り大地を舞台とした制作と発表を継続している。

Selected Artworks

  • Work 62