一見、シンプルでかわいらしい画風はアート界以外の人々の心も惹きつけ、「かわいらしい、しかし強く睨みつけるような眼差しを向ける子供」は奈良の作品のすべてを象徴するものとして、広く知れ渡ることとなる。無垢で無邪気な風貌の人物像であると同時に、孤独さと悪魔的な雰囲気を併せ持つことが作品に深みを与えており、物語性や詩的な叙情を生み出している。サブカルチャーと美術表現を融合した表現形態によって、ハイ・アートとの境界を消し去った作品は、具象絵画の可能性を提示する新しい具象絵画作家として日本のみならず国際的に注目を集めている。また、木彫やFRP(繊維強化プラスチック)、金属彫刻など様々な立体作品においても、一貫した作風と奈良特有の世界観を見て取ることができる。2010年にニューヨークのアジア・ソサエティーで開催された大規模個展「Nobody’s Fool」は過去最多入場者数を記録し、現地のMoMAに作品が所蔵されるなど日本の現代アートを代表する作家のひとり。