1936 – 1998

高松は未完成にこそ可能性と未来を見出す。未完成という永遠の「不在」、それを思考する過程を作品として提示した。1961年より〈点〉、翌年より〈紐〉のシリーズを継続して発表。物理学の素粒子や遠近法の消失点にも例えられる、既存の価値を成立させる不在としての「点」をえぐりだし、従来の空間概念を覆した。さらにこの0次元の「点」を1次元に対応させた軌跡を「紐」とし、不均等な日常性の時空間の実態を調査・顕在化する触媒として機能させた。この不在の原理的なシリーズを経て、1964年後の代表作となる〈影〉シリーズの制作を開始。影だけを人工的に作ることにより実体の世界を消却(不在化)する。観る者は影のみを知覚することで、主体の不在を逆に意識することになる。こうして観る者の想像力は現実世界の拘束から解き放たれ、自由に飛翔し、意識はより純化される。高松は〈影〉シリーズによって「不在へのより純粋な知覚」の可能性を模索していたのである。

Selected Artworks